『第７回尾鷲ツーデーウォーク』 第１日
1.大会参加
1.1.記録
実施日時：2010年11月20日 08時41分～15時29分
所要時間：6時間48分
歩行時間：5時間24分
歩行距離：22.6Km
到達高度：最高336m・最低0m
歩行経路：Google Map（使用GPS：GARMIN社製 eTrex VentureHC）
通過点 ：熊野古道センター～馬越公園～馬越峠（まごせとうげ）～道の駅海山～猪ノ鼻水平道
～天満みかん園開拓農道～天満会館～北浦児童公園～やのはま道～熊野古道センター
備考 ：1.Google Mapの主要地点は計測後に追記したもので、位置については参考とされたい。
2.同様に、案内中の距離も参考とされたい。
1.2.案内
「世界遺産熊野古道 馬越峠・猪ノ鼻水平道満喫コース 25Km」にエントリー。大まかな位置は「伊勢路鳥瞰図（引用：熊野古道伊勢路図絵・伊勢路イラストマップ探検隊発行）」を参照願います。
三重県尾鷲市の北東の天狗倉山、馬越峠は天狗倉山西側の鞍部を通過する熊野古道の一部です。猪ノ鼻水平道は天狗倉山東側の海沿いの崖の中腹を明治時代に切り拓いた道。いずれも三重県尾鷲市と三重県北牟婁郡紀北町を結ぶ道です。
尾鷲市市街地の南側に三重県立熊野古道センターがあります。熊野古道伊勢路の世界遺産登録を契機に、熊野古道や古道周辺地域の情報提供等を目的に建設された拠点施設。地元の尾鷲産ヒノキを大量に使用した建屋は、直線的な外観にも関わらず、神社仏閣を思わせて温もりを感じさせます。
コースは「８」の字を下側から書いたような形状で、出だしは半時計方向に進みます。下の丸が尾鷲市市街地、上の丸が天狗倉山周辺です。但し、大分ゆがんだ「８」の字ではありますが。
1.2.1.スタート(熊野古道センター)
8時過ぎ、熊野古道センター前広場で出発式が始まります。挨拶・表彰式・体操と進行、ただし激はなし。8時30分にスタート。
スタート直後、私の目には馬越峠が映っています。右（東側）にテーブルのような天狗倉山（522m）、左（西側）に便石山（びんしやま・599m）、両者の鞍部が馬越峠、峠後方の山は大台ケ原山系とのこと。
尾鷲港を右に見て、暫らくは市街地を北へ進みます。
1.2.2.馬越峠登り
4Km手前で山道に差し掛かります。暫らく進んだ集落に「野口雨情詩碑」が、碑面は「鰤は港に 杉桧は山に 紀伊の尾鷲はよいところ」と刻まれています。尾鷲小唄の一節だそうです。
4.5Kmを過ぎて馬越公園に到着。一角に行者堂があり、少し奥に不動の滝もあって、古くから馬越不動として親しまれているそうです。ここから先は石畳の本格的な登りが始まります。
武骨な石畳を、息を切らせて急登します。
5Kmを過ぎて桜地蔵に到着。この辺りは桜の名所だったそうですが、今はその面影がありません。桜地蔵は、お堂改修者の名前から安兵衛地蔵とも、お堂の前を水が流れるので水飲み地蔵とも呼ばれているそうです。
石畳の急登は、なお続きます。
1.2.3.馬越峠
5.5Km手前で馬越峠に到着、小休止。峠は小さな広場になっていて、ベンチなどが置いてあります。
傍らに可涼園桃乙の句碑、碑面に「夜は花の上に音あり山の水」と刻まれています。桃乙は江戸時代末期の近江の俳人、それ以上のことは、今は判りません。この地で俳句を広めたことを記念して、弟子達が句碑を建立したそうです。
句意は、今の馬越公園辺りで夜桜見物をしたら、桜地蔵辺りの流れの音が響いていた、でしょうか。今も静かですが、往時は静寂そのものだったでしょう、怖いほどに。
1.2.4.馬越峠下り
スタッフから荒縄を頂き、滑り止めのために靴先に巻きました。息も整のって峠を下り始めます。木立の間に明るく美しい景色が広がります。
石畳はなおも続きます。
７Kmを過ぎると国道42号熊野街道に出ます。馬越峠越えの終わり、出口附近の案内板に次のように記されています。
馬越坂の石畳道と一里塚
所在 紀北町海山区相賀宇馬越
馬越坂は、くまの道と呼ばれた熊野街道の一部で、古代からの熊野三山信仰に伴って開かれ、その後大正初期に旧国道が整備されるまで、当地方の幹線道路であった。
麓から峠に至る約ニキロメートルのかなりの部分が敷石で舗装され、現在もよく往時のおもかけを残している。
また、峠の下方約六百二十メートルにある石積みの一里塚には、その昔、西側に松、東側に桜が植えられ、旅人のやすらぎの場所であった。
平成七年三月
紀北町教育委員会
（注：原文は縦書き、改行は適宜省略した）
1.2.5.猪ノ鼻水平道
暫らく国道42号を東に進みます。この辺り「種まき権兵衛の里」。銚子橋の手前で右に折れ、猪ノ鼻水平道に向います。
10Kmを過ぎて、猪ノ鼻水平道に入ります。
猪ノ鼻とは海に突き出た地形の名称でしょう。途中の案内を見落としたか、それともなかったか、実際の場所は確認できませんでした。海に面した崖の中腹に付けられた道は、木で視界が遮られなければ絶景でしょう。大八車が通行できるように、平坦で幅の広い道が付けられたそうですが、現在は山径と化した部分もあります。人一人が通行できるほどに狭まっていて、少し怖く感じられる部分もあります。
1.2.6.天満みかん園開拓農道
14Km過ぎ、天満みかん園開拓農道に出ます。広い道になってほっとしたところで、尾鷲名物・鯛めし弁当の遅い昼食にします。美味、山歩きの昼食にしてはボリュームがありすぎですが。それにしても良い天気です。
暫らく進むと、尾鷲湾が見えるようになります。海の向こうにゴール地点の熊野古道センターが見えます。途中、天満会館でみかんジュースとみかんのご接待、蘇えります。多くの人が待ち受けてくれていましたが、若い人が少ないです。
1.2.7.市街地熊野古道
開拓農道を下り、尾鷲港の脇を通過して市街地に入ります。18Km過ぎ、熊野古道に戻ります。朝は馬越峠に向いましたが、反対の八鬼山方面に進みます。
市街地の外れ近くでやのはま道に入ります。やの浜はこの辺りの地名、家々の間の細い道を通過したりします。民家は屋根から雁木を垂れています。雪国では雪を防ぐために雁木を取り付けますが、尾鷲は雨を防ぐために雁木を取り付けるそうです。巽の方角に井戸のあるのも特徴だそうです。こういうことは普通の旅行ではわからないでしょう、マーチングでは町の人たちと接触する機会が多々あります。
公園の一角でぜんざいのご接待を受けました。リフレッシュして、残り2Km。
1.2.8.ゴール（熊野古道センター）
22.6Kmを歩き終えて熊野古道センターにゴール、15時30分。予定より１時間ほど遅いゴールです。多少、ヒヤッとしたところもあり、ゆっくりと着実に歩いた結果です。
振り返えると相変わらず馬越峠が鮮やかに見えます。完歩を祝福されているようにも思えます。いつもならビールで祝杯を挙げるところですが、出店がありませんでした。残念。
1.2.9.まとめ
まず、スタッフ・ボランティアの皆さんに感謝します。親切な受け入れ体制、暖かなご接待は、歩き通す活力となります。
天気に恵まれたのも幸いでした。雨模様なら、エントリー変更あるいは中止を余儀なくされたと思います。湿った石畳の道は、怖いほどに滑ります。
各地のウォーキング大会に10回ほど参加した経験から、このコースは難かしいと思います。馬越峠越えの石畳道は急登・急降。猪ノ鼻水平道は細い山径や丸太を並べた橋があったりします。距離的に長いことはありませんが、体力が必要です。
参加案内に登山タイプと明記してあります。歩きなれていない方は少し前からのトレーニング必須。山坂の上り下りもトレーニングに加えておくことをお薦めします。一般的なマーチングを基準にしてのことですけれど。
しかし、熊野古道は人を挽きつけるものがあります。伊勢路に限らず、他の路にも分け入りたいとの思いを抱きました。
（2010年11月23日記録）